「サンジ!!ゾロ!!」



ルフィが、階下へ下りてきた2人の姿を見つけて駆け出す。



 「よかった。2人とも無事ね。」

 「あいつらがやられるワケないでしょ?」

 「おおおお、お姫様抱っこされてるよぉ。

  あー、アチィアチィ…ア……血ぃ―――っ!!?」

 「ああああああああ!!医者ァあああああああって、オレだ―――っ!!」



黒いスーツでは、遠めにはサンジの怪我の具合が見えない。

だがシャツと、ネクタイを緩めた開いた胸が、血で真っ赤に染まっている。



 「サンジくん!大丈夫!?」



ナミが、叫んだ。

すると



 「はぁあ〜〜〜い!ナミっすわぁあ〜〜〜〜〜ん!VVVメロリンぜ〜〜んぜんっだいじょぉおぶぅ〜〜〜〜!!

  心配かけてごめんよほぉ〜〜〜〜〜〜〜い!!」

 「いや、心配はしてないけど。」



ゾロを突き飛ばし、ラブハリケーン全開でナミの足元にひざまずく。



 「XXXXXXXXXXXXXXXXXX!!!」



怒りのゾロ。

まだ宙に浮いた手は、サンジを抱えた形のまま、ぶるぶると震えていた。



 「うんうん元気だ!よかったよかった!!」



ルフィが笑った。

ウソップが呆れて



 「耐えろゾロ。お前ぇに楽させてもらおうと思って、すっトボケてたんだ、ありゃ。」

 「…叩っ斬る…。」

 「サンジィ〜〜!傷見せてよぉ!!治療させろ〜〜〜〜!!」



チョッパーがウズウズしながら言った。



ロビンが、微笑みながらゾロに



 「ご苦労様。」



と、言った。



 「お前に労ってもらう、筋合いはねぇよ。」

 「ふふ…そうね。」



そして



 「あの人は?」

 「…斬った。」

 「……ありがとう。」

 「何で礼だ?」

 「あら、ホントね?…さあ、なぜかしら。」



後に、エニエスロビーという島で、ゾロはロビンとのこのやり取りの意味を、思い知らされることになる。



 「カイエンは、母親を元に戻すことしか考えなかった。

  あってはならない生を、止めようとはしなかった。

  彼女は、本当は息子に止めてもらいたかったのじゃないかしら…。」

 「それが叶わなかったなら、自分で自分の首を刎ねりゃいい。

  そうしなかったのは、あの女が弱かったからだ。息子の方も、。」

 「愛が深すぎて、断ち切ることが恐ろしかった…。そうは思わない?」

 「………。」

 「そんな気がする…。自分の愛が、途絶えることが怖かったのかも…。」

 「馬鹿馬鹿しい。」



ゾロの答えに、ロビンは微笑む。



「本当はエリザベートは、自分をあんな体にし、運命を狂わせた息子を、憎みたかったのに、憎めなかった。

  だから、嫁を食い、使用人を食い、どんどん自らの体を変えて復讐し、自分を憎ませようと…。

  ああ、もう止めるわ。あの人の心なんか、わかるワケないもの。」

 「ああ。わからねぇ。わからなくていい。わかりたくもねぇ。」



ロビンは、にっこりと微笑み、髪をかき上げた。









そして、ぽつりとロビンは言う。



 「…あの人…あの能力を持って、1回くらい、良かったって…思ったこと、あったのかしら…。」

 「さあな。知ったこっちゃねぇ。」

 「そうね。どうでもいいわね。」



 「オレはよかったぞ!」



いきなり、ルフィが言った。



 「オレは、ゴムの体になって、よかったって思ってる。」



なりたくてなった体ではなかった。

それでもルフィは



 「オレ、ゴム大好きだ!」



にっこりと、笑う



ロビンも笑う。



 「うん!オレもこの体になって嬉しい!みんなに会えたんだもん!」



チョッパーも笑う。

ナミが



 「ロビン、あんたは?」

 「もちろんよ。」



ロビンの答えに、ウソップも笑った。



ゾロも、サンジも、笑った。











夜が明けていた。



空が、ほんのりと朱色に染まる。



今日は、いい出航日和だ。



 「さあて!行くとすっか!!その前にサンジ!メシ!!」



労わりの、かけらもない船長。

だがサンジは明るく



 「OK!キャプテン!!」



と、艶やかに笑って、答えた。















































 嵐だ



昼だというのに真夜中のような暗さ。

黒雲は切れ目すら見えず、荒れ狂う波間は、沖行く船を木の葉のように揉み続ける。

叩き付ける雨の中、水夫が叫んだ。



 「島が見える!!」

 「崖の上に城があるぞ!!」

 「あそこへ着けよう!オレ達ぁ運がいいぜ!!」

 「あれだけデケェ城なら、お宝もたんまりありそうだ!」

 「おい!見ろ!灯りだ!!こっちへ来いって言ってるみてぇだぞ!!」

 「へっへっへ!こちらが海賊とは気づいてねぇな。」

 「野郎共!行くぞ!あの灯を目指せ!!」





















嵐の夜は 気をつけな



離れの島には城がある



城の中には鬼がいる



人の血肉を食う鬼が



明かりの灯る窓の中









 「ようこそ。大変な嵐でしたね…。」









吸血鬼という鬼がいる























END















(2007/6/1)







BEFORE

エターナルブラッドTOP



エリザベート・バートリ



この名を見た瞬間に、「ああ、吸血鬼ネタ。」と合点したあなた。 



同士



彼女は実在した女性です。

17世紀、ハプスブルグ家の血を引く、トランシルヴァニアの貴族バートリ家に生まれました。



『血の伯爵夫人』と呼ばれ、その生涯で600人(裁判での公式記録は80人)の処女を殺して、

生き血を吸ったとか肉を食ったとか、その血で体を洗ったとか言われております。



有名な拷問道具(処刑道具)『鉄の処女(アイアンメイデン)』は、

彼女が娘達から血を抜くために作らせた合理的道具。



どんどん殺していって、さすがに身近に若い娘がいなくなり、貴族の娘にまで手を出し始め、

ついにばれて(見過ごせなくなって…。)裁判にかけられ、有罪判決で召使達は全員処刑。

本人は身分の高さゆえに、城の、全ての窓を塗りこめられた暗闇の部屋に幽閉。

3年後に死亡した。



と、まぁ



こんな感じの人を、麦わらの一味に絡ませてみました。(すんなっ)



まぁね

単純に、『サンジが好きで仕方がないゾロ』

『豪華なベッドで真昼間にHするゾロとサンジ』とかを、書きたかっただけかもしれない。



楽しかったです。はい。



魔物に見込まれるサンジ君

いろいろと書きたいテーマのひとつ。

ダークサイドな話は大好きです。



余談ですが、魔物で思い出しました。

ネウロなサンジと弥子なゾロ、というのを書いてみたいです。

ダメ?

ネウロなルフィと、弥子なゾロでもいいな。

ダメ?

どっちにしても、弥子はゾロ。






お気に召したならパチをお願いいたしますv

TOP
COMIC-TOP