「……いいですねェ、北斗星の旅。…この前、踏切待ちしてたら、目の前をカシオペアが走って行ったんですよ。 滅多に見られないんですよね、アレ。なんだかちょっと、得した気分……かな? …あ、もうすぐ6時になりますよ、約束のお時間大丈夫ですか? …それではまた…来週もこの時間に、バー・オールブルーでお待ちしております… マスター、サンジでした………。」 エンディングの曲がかかる。 スイッチを切り、『バー・オールブルー』のDJ・サンジは、 サニーヒルズオープンスタジオのガラスの向こうのギャラリーたちに微笑み、軽く頭を下げた。 FMサウザンド・サニー、78.7MHz コールサインJOSS-FM 系列JFN ある地方、ある街のFM放送局が、毎週金曜日の夕方5:00〜5:49に放送している『バー・オールブルー』 DJのサンジは本物のバーテンダーだ。 オールブルーという名の店は、彼が経営している実在の店の名前なのだ。 そしてサンジは、この放送の後、自分の店を開ける。 さぞや、リスナーの客で溢れかえるかと思うだろう。 しかし、サンジの店『オールブルー』の所在地は不明だ。 公表されておらず、地元協会の『○○市飲食店地図』にも掲載されていない。 問い合わせはひっきりなしだし、探り当てようとする彼のファンの掲示板はあれこれあるが、はっきりしない。 「本当は、店なんかないんだ。」という者もいるし、「いや、ある。」と言う者もいる。 「行った。」と言う者も多いのだが、大半がガセネタだ。 彼のバーは、その街の都市伝説のひとつだ。 5:50から、交通情報が入る。 その音声が、スピーカーから漏れてくる。 スタジオの明かりが消えると、オープンスタジオの前にいた人々は、ぱらぱらと散り始める。 5:55からは天気予報、6:00以降からは系列のJFNの番組なので、スタジオは使わない。 サンジはいつものように、テーブルの上の外から見える位置に『FMサニー78.7』のボードを置いて 「………。」 ガラスの向こう、少し離れた街路樹の下で、こちらを見ている青年を見て 「………。」 微笑んだ。 サブ調整室に戻ると、ディレクターのフランキーがサンジに 「お疲れさん!いやぁ、頭の『Calling you』!!よかったなァ!!さすがのスーパーな選曲だったぜ。 しかし、お前さんの歳で、よく『バグダッドカフェ』なんて知ってたな。」 「この前DVD見たんだよ。『Calling you』は曲だけ知ってたんだ。映画…なんかエラクふつーの話だったな。 ……レコードかァ。よくあったと思って感心したよ。」 「スーパー任せろ。どんな曲でも、ジャズなら無いとは言わねェぜ?」 サンジは笑った。 この街は、世界的に有名なジャズ奏者を生みだした街だ。 サンジの番組は、『小さな、洒落たジャズバーに訪れた客とそのバーのマスターが、 ジャズと美味い酒を楽しむ。』というコンセプトの番組だ。 「けど、『バグダッドカフェ』じゃ、酒よりお茶になっちまうな。ちょっとしくじった?」 「んなこたねェよ。逆に、冷たいビールが欲しくなるさ。 …それより、表で待ってんだろ?もう、いいぜ。ごくろうさん!」 「…ん?…ああ…。」 「また、来週。」 「ああ、また来週。」 スタッフに挨拶して、表へ出る。 数人の中年女性が寄ってきた。 ファンだという彼女らと握手して、営業スマイルで 「ありがとう、来週も聞いてくださいね。」と、いつもの挨拶を言い…。 晩秋の夕暮れはすでに暗くて、寒い。 マフラーを軽く首にかけて 「……おまたせ、ゾロ。」 街路樹の下で、肩をすくめ、ズボンのポケットに手を突っこんだまま、 ゾロと呼ばれた青年は、少しためらうようにサンジに歩み寄ってきた。 「………。」 黙って、サンジは先に立って歩き出す。 その後を、ゾロも付いていく。 夕暮れの街。 その県の、県庁所在地の市中心部。 今2人が歩いている道は、真っ直ぐに県庁舎につながる街のシンボルロードだ。 電線は地中化され、石畳、街路樹が整備され、11月という事もあり、 クリスマスに向けたイルミネーションが木々を彩っている。 だが、街は数年前からの空洞化で、市中心部の繁華街にも関わらず、金曜日でありながらどこかさびれて寂しい。 FMサニーは、シンボルロード沿いにあるスタジオだ。 3年前に、旧スタジオから移ってきた。 以前のスタジオは、つぶれた家具屋のショールームだったが、地域への密着度とスポンサーの増加、 JFNの加盟に伴い、今の場所に新社屋およびスタジオを建てて移った。 放送時間も格段に増えて、その折の番組改編で、サンジはDJを務めるようになったのだ。 番組ディレクターフランキーが、サンジの前の勤め先のバーの常連客だった縁。 さて サンジとソロは、繁華街を抜け、県庁裏のマンション街の間を抜け、 あまり高層マンションの無いこの町では高い方の8階建てのマンションに入った。 サンジの住まいは、この6階にある。 エレベーターを呼ぶ。 扉が開く。 いつものように、サンジが先に中に入る。 後から、ゾロが乗り込む。 動き出した箱の中。 だが、互いに箱の壁に背中を預け、目を合わせる事もなく、じっと、箱が止まるのを待つ。 「………。」 「………。」 箱はやがて6階のフロアに着き、ドアが開いた。 小ぶりなマンションだが、そこは1フロアが1世帯のペントハウス風な作りになっている。 そして、目の前のドアのカギを開け、ドアを開ける―――。 普通なら、そこに現れるのは玄関であるが、そこは バー・オールブルー サンジの店だ 自宅なのだ。 現に、3メートルほどのカウンターと、酒のキャビネットの奥には普通にダイニングテーブルがあり、 パーテーションの向こうにはサンジのベッドが見えている。 さらに、ベッドルームの向こうにバスルームとトイレ。 さすがにトイレは見えないが、バスタブはガラスの壁の向こう側に鎮座している。 明らかなひとり暮らし用の部屋だ。 言い忘れたが、玄関を入ってすぐ脇に、サンジが使っているロードサイクルとミニバイクが置かれている。 キレイに磨きあげられて、店のオブジェの様だ。 ソーホーの様な部屋。 ここが、サンジの店。 これでは確かに、知った人間でなければ来られない。 実際に、この店を訪れるのはサンジの招待する客ばかりで、それも週に5,6人。 商売にはならない。 皆、この“楽園”を守るために、決してこの店の場所を他者に教えようとはしない。 サンジはマフラーを外しながら、玄関外のフロアに立ったままのゾロに振り返る。 「………。」 「………。」 「…じゃ…また来週な…。」 サンジが言うと、ゾロは小さくうなずき背中を向け、エレベーターではなくすぐ脇の階段を使って下りて行った。 「………。」 4年前から 毎週金曜日の“習慣”。 お茶でも飲んでくか? って 今日も言ってやれなかった…。 サンジは、5年前に祖父を亡くし、全ての係累を失った。 その祖父はかなりの資産家で、ある街の郊外に広い土地をいくつも持っていた。 サンジが22の、大学卒業間際だった。 その遺産を受け継いで間もなく、その土地のひとつに高速道路が通る事になり、 さらに別の土地にそれを当て込んだアウトレットモールが出来る事になり、土地に執着のなかったサンジは、 言われるがままに持っていた土地を手放して、とんでもない額の金を手に入れた。 なので 働く必要もなく、必死に店を流行らせる事もしなくていい。 そんな身分になれば、周りに、初めて会う親戚や、それまで見向きもしなかった女や男たちが群がってくるようになる。 それが鬱陶しくて、サンジは生まれ育った街を出て、今のこの街に引っ越してきた。 マンションを買い、気まぐれでバーで働き、バーテンダーになった。 酒を覚えて仕事が楽しくなり、元より金には困らない身、世界中のあらゆる酒を様々な方法で手に入れられた。 親しい客にこっそりと、「こんな酒があるんですよ。」と耳打ちして、自宅に招いているうちに、 自宅にプライベートバーを作ってしまい、酒を求める旅で年中休みがちだった店も辞め、 面白半分で作ったバーが『オールブルー』。 キャビネットに並ぶ酒は、どれも日本では珍しい物ばかりだ。 メジャーな酒もあるが、大半はサンジが直接外国で買い付けて来たものだ。 常連の客の中には、サンジに銘柄を指定して、経費全てを自腹で出して、 買いに行ってくれ、手に入れてくれと言う者もいる。 そしてサンジはその要望を裏切らない。 DJを始めたのも、そんなサンジの気まぐれだった。 頼まれて、ちょっと興味半分で始めた。 初めは半年で終わる予定だったが、好評で、先日あと半年の契約を交わしたばかりだ。 サンジの、ジャズと酒のウンチクは、帰宅途中のビジネスマンの人気で、 さらに、夕飯の支度前の主婦達には、低音の、甘い囁くような声がたまらない魅力だ。 そして、夫婦でそれぞれを聞いていたリスナーが、翌日土曜日に、バーで酒が飲みたくなって、 街のバーを訪れるようになり、飲食店組合がつい先日スポンサーになってくれた。 大手酒メーカーも、バックアップしてくれる事になって、フランキーも会社もウハウハだ。 半年で辞めようと思っていたDJ。 そんな理由で「辞めたい」と、言えなくなった。 そして、言えない理由が後ひとつ。 4年前。 いつもの金曜日。 サンジの番組は、隔週でゲストがやってくる。 芸能人だけではなく、作家や陶芸家、料理研究家、画家、実業家、ジャズ好き酒好きを自称する人々。 その日も、東京から、その街のライブハウスでライブを行うミュージシャンが来ていた。 若手ミュージシャン、女の子。 放送は滞りなく終わったのだが、その女の子はすっかりサンジの美声に惚れこんでしまい、 この後のライブに来てくれとしきりと誘った。 それは、放送が終わって、交通情報が流れた後も続き、そのやり取りは外のリスナーへのサービスで流し続けていた。 結局、彼女の押しに負けて、サンジが「はい。」と答えると彼女は 「来てくださいね、待ってますから!約束して、指きりげんまん!」 次の瞬間だった。 オープンスタジオの分厚いガラスの壁に、大きな亀裂が入った。 それが、ひとりの男がバール状のもので叩きつけてできたものだと察した時、悲鳴が起った。 男は、訳のわからない悲鳴を上げながら、何度も厚いガラスを叩き続けた。 防音の厚いガラス、滅多に割れる事はないが亀裂が大きい。 ヤバイ…! 女の子は悲鳴を上げ、サンジにすがりついた。 その瞬間、ガラスが割れた。 サンジは、とっさに彼女を庇い、調整室からもスタッフが飛び出し、 フランキーは表通りに飛び出して、他のスタッフと一緒に男に飛びかかり抑えつけた。 だが、男は、フランキーのデカイ体を突き飛ばし、わめきながら、彼女を庇ってうずくまる、 細かいガラスの破片を浴びたサンジに向けて、バールを振りおろそうとした。 サンジは腕に力をこめて、堅く目を閉じた。 その時 「ぐわぁっ!!」 来ると思った衝撃はなかった。 一瞬訪れた静寂に、サンジが目をあげると ブレザーの大きな背中。 その手に、剣道の竹刀。 その竹刀が、一撃でその男を倒したのだとわかるまで、少し時が要った。 男は道端に倒れ、口から泡を吹いていた。 その男は彼女のファンで、最近はストーカー化していたらしい。 スタジオの中でのサンジのあまりの図々しさ(ストーカー男目線)に怒り狂い、襲撃に出た。 彼女は恐ろしさに震えて、サンジとの指切りなどすっかり忘れていた。 しかし、その日のライブは無事こなしたというからさすがはプロだった。 「サンジっ!!大丈夫か!!?」 「…あ…ああ…大丈夫?」 「は、はい…。」 彼女のマネージャーが駆け寄ってきて、スタッフに囲まれてスタジオの奥へ彼女を連れて行った。 「怪我、してねェか!?」 「ああ…防音ガラスだからな…刺さりゃしねェ…。」 フランキーは、竹刀を下げた男に向かい 「…ああ、君!!高校生!!…ありがとうな!!」 ブレザーの肩をバンバン叩いた。 サンジも立ち上がり 「ありがとう…!」 手を差し出した。 ブレザーの袖から伸びた手は、伸ばされたサンジのそれに触れることはなく、だが少し恥ずかしそうに目を反らして 「…別に…。」 「………ありがとう。」 「………。」 紺のブレザー、高校の制服。 知ってる。 このずっと坂の上にある、私立の学校の制服だ。 襲撃中に誰か警察に電話したのか、パトカーがやってきた。 男はすぐにパトカーで連れて行かれた。 そして、警官が高校生に 「君、君も事情聴取、いいかな?」 「…はい。」 「じゃ、中へ。…ああ、あなたも。」 サンジに言った。 「はい、ガラスの破片落としてからでいいですか?」 「ああ、もちろん。」 野次馬が多くなった。 女性スタッフが、サンジの体をダスキンのハンディモップで払う。 「ごめんね、掃除用で。」 「いいよ、どうせ汚れてるし……しかし、あの高校生スゲェな…一撃必殺だったぜ。」 「あら?サンジくん、まさか、あの子の事知らない?」 「え?」 どこの有名人? 「やーね、有名人じゃないわよ。あの子ね、今年の春頃から時々、サンジくんの放送見てるのよ?あそこの街路樹の下で。」 「…え…?」 言って、女性スタッフは、シンボルロードの1本のマロニエの樹を指差した。 「そうなの?」 「ええ。平日は毎日ここを通るけど、立ち止まってDJ見てるのは、サンジくんの『オールブルー』だけよ。」 「………。」 「背、高いし、あの髪の色だし、目立つのよ。みんな知ってるわよ?嫌だ、気がついてなかったの?」 「…全然…。」 「…そんなだから、彼女が出来ないのよ?サンジくん?」 「…あはは…。」 「はい、終了!」 「ありがとう。」 会議室に行くと、フランキーと制作部長と、さっきの高校生。 2人の警官が、3人に向かい合って座り、丁度高校生に質問をしていた。 「名前を教えてくれるかな?できれば、学生証を見せてくれる?」 「はい。」 「……霜月学園特進科1年、ロロノア・ゾロ…くん…ほう、霜月学園特進科…優秀だな。」 「………。」 ロロノア・ゾロ 霜月学園特進科1年……え?1年生……? でかっ!! 175センチ越えてるよな? 「剣道部…だよね。」 「はい。」 ゾロの側に、カバンと剣道用の大きなバッグと竹刀。 「勇敢だったね。けど、ちょっと無茶だった。」 警官の言葉に、ゾロ、という高校生は少し眉を寄せた。 サンジは思わず 「けど、おかげで助かった。あの時助けてくれなかったら、おれ、今頃救急車の中だったっすよ。」 ゾロが、サンジを見た。 綺麗な目だ。 「ありがとうな、ロロノアくん。」 「…いえ…。」 短く答えて、ゾロはじっとサンジを見た。 「………。」 …なんか…ケンカ売られてる…? 事情聴取が終わり、サンジとゾロは一緒にサニースタジオを出た。 いつもの時間より大幅に遅い、午後8時。 「じゃあな、サンジ!懲りずにまた来週!!」 「ああ、また。」 「お前さんもありがとうな!今度、遊びに来いよ!ラジオ、好きなんだろ?」 「………。」 ゾロは小さく頭を下げた。 「さて、お前さん家どこ?門限とかある?」 「………?」 「よかったら、晩飯おごらせてくれねェ?お礼したい。その後、送って行くからさ。」 「…別に…いいす…。」 「お母さんが夕飯作ってくれてるか?…あ。途中で連絡入れた?心配してるかな?帰りが遅いって。」 「母親はいません。…親父も遅いから…。」 「……ああ、ごめん……。」 「…いえ…。」 「…毎週あそこで見て、聞いてくれてるって?」 「!!」 「気がつかなくてごめんな。ありがとう。嬉しいよ。」 わずかに、ゾロの頬が染まる。 「親父さんも遅いならいいだろ?飯、おごらせてよ。」 「…いえ…失礼します…。」 と、ゾロはくるりとUターンして、サンジとは逆の方向へ勢いよく歩き出した。 「おい、ロロノア…!ロロノア・ゾロ!」 「……!」 「…来週も来いよ。来週、終わったら一緒に飯食おう!」 「………。」 足が止まった。 だが振り返らない。 「…借り作るの嫌なんだよ。返させてくれよ。」 「別に…貸しだと思ってねェ…。」 「…ああ、ごめんな…けど、おごらせてくれよ。気がすまねェんだよ。な?」 「………。」 答えはなかった。 大きなバッグを背負い直し、ゾロはアーケード街を私鉄の駅の方向に向かって歩いて行った。 それから、サニースタジオは3日間、文字通りのオープンスタジオになった。 土曜日の午後12時からびっしり6時間、パーソナリティを務めるDJウソップは、翌日、 その惨状を見ても笑い飛ばし、晩秋の風吹き荒ぶ中で6時間、しゃべり続けたのは後に伝説になる。 月曜日の深夜に工事が入り、サンジが金曜日にサニーを訪れた時は、新しいガラスが入ったいつものサニーヒルズだった。 「なんかあの後逮捕されたってよ。新聞見たか?」 フランキーが言った。 「いや、新聞取ってねェし、テレビも見ねェし…。」 「社長が一応、損害賠償請求出すって言ってたけどよ…期待できねェな。 お前さんはどうする?被害届出すか?確認してくれって言われてんだ。」 「…しねェ…面倒臭ェ…。」 放送まで45分。 今日はゲストはいない。 ゲストのいない日は、できるだけ曲を流し、流しながら酒のウンチクを語る。 「…『枯葉』と『ムーンライトセレナーデ』…なんか月並みな選曲じゃねェか?フランキー?」 「その月並みがいいんだよ。マット・デニス『星に願いを』で〆るか?」 「うわぁ…ベタベタ。」 白い歯を見せて笑い、サンジは進行表をテーブルの上に投げた。 と、ミーティングルームのドアがノックされ、ドアが開いた。 「サンジくん、来てるわよ。ロロノアくん。」 「え?ホント?」 フランキーが言う。 「入ってもらえ。この前の礼も改めてしてェ。」 「…そう言ったんだけど…。」 「?」 「あそこで見てるって。」 調整室の影から、そっと外を覗く。 この時間は、JFN系列の放送だからスタジオは空だ。 あの、街路樹の下に 「………。」 今日は、制服じゃねェんだな。 ダウンのベスト。 クルーネックのTシャツにデニムのズボン。 ダウンのポケットに手を突っ込んで、ぼーっと立っている。 あ。動いた。 ポケット探ってんな。 携帯か? 携帯だ…彼女かな…? おーお、スゲェ仏頂面…。 お。怒った怒った。 彼女じゃねェな、ありゃ。 てか、いるのか彼女? 切った。 あらら、でっけェため息…(笑) 「あ。」 目が合った…。 瞬間、ゾロはびっくりして目を丸くした。 が、すぐに目を反らして背中を向けた。 背中を向けて、街路樹の向こう側にすすすっと隠れる。 だが 「…その図体じゃ、隠れた事にならねェよ。」 女性スタッフが、くすくす笑うサンジに問う。 「どうする?サンジくん。」 「…いいよ。きっと、最後まであそこで聞いてるだろうから…。」 「じゃ、そろそろスタンバイね。」 「OK。」 可愛いヤツ (2009/12/23) NEXT Days of Wine and Rose and Radio-TOP NOVELS-TOP TOP