BEFORE
夜のヴェローナの街を、何台もの車が疾走する。
観光で成り立つ街だ。
さすがに普段は、マフィアなど表通りを歩く事はない。
なのに
「……動きは派手じゃないが…至る所、手が回ってるな。」
路地の物陰から、通りを伺ってサンジがつぶやく。
ナミが
「ねェ、ブルックの教会…ヤバイんじゃない?」
「…そうだな…多分、真っ先に囲まれてるだろ…。」
「ブルック、大丈夫か?」
「あいつは心配ない…問題はゾロ達だ…。」
「…携帯でもあればねェ…ウソップ、ないの?」
「おれの、ユーロ圏カバーしてねェ。フランス国内だけ。」
「…あたし、教会に置きっぱだわ…。持ってても、ゾロもルフィも持ってないしね…。」
「…携帯にかけたら、途端に居場所を探知される。そういう能力を持ってる。」
「軍隊か。」
「…軍隊だよ…。」
ウソップが、ぶるっと震えた。
「…このままミラノの空港行くか…?」
サンジが笑う。
ウソップは丸い目を吊り上げて
「バカ言うなァ!!」
「冗談だ…。」
「………。」
ふと、考え込んだウソップは、サンジに言った。
「…なんで…ゾロが動ける様になってから、襲ってきたんだろ…?」
「え…?」
「…ゾロを、ヴェローナから追い出すつもりだったんだと思うけど…今、ここにこうしてサンジがいるだろ?
だったら、まだ身動きがとれない段階で、教会に攻め込んでくる方が止め刺せると思うんだけどな…。」
「…それは…。」
「………。」
「…そういえば…そうかも…。」
と
目の前を、黒い車が横切って行った。
「…移動しよう。」
「どこへ行けばいい?」
「………。」
一方
「ダメだ…教会に近づけないよ。」
「………。」
ブルックの教会の、数ブロック手前で足止めをくらった。
蟻の這い出る隙間もないほど、ロロノアの『ソルジャー』が取り囲んでいる。
「どうする?ゾロ?」
ルフィが問う。
チョッパーが
「…他に落ちあう場所決めてないだろ?どーすんだ?」
しばらくして
「…“ジュリエットの家”。」
「!!」
「行こう。」
それ以上何も言わず、3人は駆け出した。
逃げ出したのは夜だった。
段々、空が白み始め、街はうっすらと朝靄に包まれている。
『ジュリエットの家』は観光名所だ。
あまりそうとは見えない、シンプルな門扉。
こんな早暁に、まだ門は開かれていない。
ゾロとルフィとチョッパーは、塀を乗り越え、中庭に潜り込んだ。
「…誰かいる?」
ルフィが言ったが。
「銅像だよ。ジュリエットだ…。」
チョッパーが答えた。
朝靄の中、それは本物の少女に見えた。
「右の胸に触ると、幸せになれるって言われてるんだ。触る?」
「…いらねェ。」
「へェ、おれ、触ってみっかな!ゾロも触れよ、サンジと島へ帰れますようにってさ!」
「おれは何にも祈らねェ。」
「ノリ悪ィなァ、触ってみろって!触るだけ!」
「ちょ…!よせって!!」
「……何やってんだ……てめェら……。」
低い声に、ゾロは慌てて、ルフィに引っ張られてジュリエットの胸に触らされた手を振り払う。
振り返ったそこに、冷た〜〜〜〜〜い目で3人を見る、サンジとナミとウソップ…。
「おれじゃねェ!ルフィが!!」
「へェ、ルフィが?」
ナミがさらに冷たく言った。
「触ると幸せになれるんだってさ!触れよ、ウソップ!」
「おお!そうなのか!?じゃ…。」
ナミの拳が能天に落ちた。
チョッパーが感心したように言う。
「すげェ!よくここだってわかったな!」
サンジは小さく笑い
「…この街で、他にゾロが思いつく場所は、ここしかねェと思った…。」
「………。」
サンジは、ふと目を上に向ける。
「………。」
「…あそこか…?」
「…ああ…。」
アーチ型の石壁の上に、幅が2メートルほどの石造りのバルコニー。
ああ、ロミオ。 どうしてあなたはロミオなの?
名前に何があるというの?
薔薇と呼ばれる花を
他の名前で呼ぼうとも
甘い香りに変わりはない
「さて…で、ここからどうする?」
ウソップが、現実に引き戻す。
「とにかく、ヴェローナを出ましょう。」
「…敵前逃亡したくねェ…。」
「んん!!ゾロに同じ!!」
「んなこと言ってる場合か!!」
「…ナミさんとウソップの言う通りだ、ゾロ、ルフィ。……マフィアを甘く見るな……。」
「………。」
「…ただ…ゾロシアという男は…決して…始めた事を中途半端で終わらせたりしない。
ヴェローナを出ても、どこまでも追ってくる。」
「………。」
「…追って…島へ戻っても…何らかの圧力はかけてくるはずだ…。」
「………。」
6人が沈黙した時だ。
「!!」
「…車の音…?」
「……うわ……足音がこっち来る!!」
「嘘!!見つかったの!?なんで!?」
「……っ!!」
相手はゾロシア。
ゾロとサンジの行く先など、すぐに見当がつくのか?
「行くぞ!離れるなよ!!」
途端に、門扉を破って男達がなだれ込んでくる。
「みんな!目と鼻塞いでろ!!」
ウソップが叫び、リュックサックから野球のボール大のものを取り出すと
「くらえ!!」
炸裂音と共に、猛烈な刺激臭が漂う。
「ウソップ様特製、七味唐辛子爆弾!!」
逃げながら、ルフィが目をきらきらさせて
「おおおおおおお!すっげェェェェェ!!」
「……すげェけど…何であんなもん持ってんだ…?」
そこは謎?
「相手はマフィアだろうが!!これくらいの装備は必要と思って持って来たんだよ!!」
「おお!さすが!!」
銃声が響いた。
銃弾が、サンジの頬を掠めていく。
「サンジ!?」
「…大丈夫だ…掠っただけだ!」
「あんにゃろ!!サンジ、狙ってどーすんだ!?」
2発目
3発目
「ちょっとぉ!!無差別!?」
「………。」
「…サンジもお構い無しか…!?」
「クソ…!ゾロシア…!!」
背後から、「撃て」「追いかけろ」と、怒号が繰り返される。
「そーだ!!」
チョッパーは、ポケットから名刺を出し、携帯のボタンを押す。
「どこにかけてんの!?」
「…もしもし!!?昨日の1万ユーロだけど!」
『おや!昨日はどーも!』
「今、カベッロ通り23番から、マッツィーニ通りを走ってる!!迎えに来てェェ!!」
『んじゃ、そのままフランコ橋を渡って、12号線に出なァ!!』
「わかったー!」
『5分で行くからねェ!!』
「3分―――っ!!」
『んががが!!わぁったよ!!待ちなァ!!』
「昨日のカミカゼオバハンか!?」
「うん!3分で12号線に出るぞ!!」
「そっちじゃねェ、ゾロォォ!!」
サンジに怒鳴られ、ゾロは慌てて方向転換しようとした。
その目の前に
「!!」
「…っ!!」
赤いランチア。
中から降りてきたのは
「ギン!!」
行く手を阻まれ、みな一瞬蒼ざめたのは、ギンの殺気に満ちた視線のせいばかりではない。
その両手に、トンファーと呼ばれる黒光りする武器は、いかにも怒りと憎悪がこめられているようだった。
「サンジさん…大人しく戻っちゃいただけやせんか?…今なら、そちらの方たちは、黙ってお返しできやす。」
「………。」
サンジは笑い。
「それは…親父の命令か…?」
「…ドン・ゾロシアの、アンダーボスへのご命令です。」
「………。」
「………。」
「サンジはおれ達と行くんだ!マフィアになんかならねェぞ!」
ルフィが叫んだ。
「…息子だから…次のボスにならなきゃならねェ決まりはねェだろ…。
他にだって、その座に着きたいやつはゴマンといる。」
「……そういうお考えが、20年前の混乱の引き金になったんでさ。」
「………!」
「…もし、従っていただけねェというのであれば、お友達全員の命は保障出来ませんぜ。」
「そんな事はさせねェよ。」
言い放ち、ゾロは携えていた刀を初めて抜いた。
かつてのゾロシアの愛刀。
剣道の上段の構え。
だが、ギンは一瞥し
「……真剣を持つのは初めてでしょう?」
「………。」
「…真剣は重いでしょう…恐れがあるとなお重い…。
人を斬ったことのねェあんたでは、その刀でも、おれにかないっこありやせんよ。」
「…御託はいい…やってみてからものを言え!!」
鈍い金属音が交わる。
ギンは、大振りの鉄球をいともた易く回転させ、ゾロの太刀を容易に返す。
手ごたえが重い。
ギンの言う通り、真剣の重みと扱いは木刀の比ではなかった。
剣を振り、ギンのトンファーをかわしながらゾロは叫ぶ。
「…チョッパー!!走れ!!」
「ゾロ!!?」
「3分経つ!急げ!!」
「ゾロ!!」
サンジが、飛び出そうとするのをナミとウソップが止めた。
「今は逃げるのよ!サンジくん!!」
「放してくれ!ナミさん…!!」
「ゾロ!!」
ルフィが、ゾロの背後から大きくジャンプし、ギンの後ろに回る。
「!!」
「うおおおおおおおおっ!!!」
不意を突かれて、ギンの顔にルフィの拳が入った。
自己流だが、ルフィはかなり「ケンカ」が強い。
小さい頃から、兄エースやガープと、本気の取っ組み合いを繰り返して育ってきた。
ガープの、『獅子が我が子を千尋の谷に突き落とす方式』の教育法で、ルフィはそこらのヤクザや軍人よりはるかに強い。
元々、海賊の子孫だ。
モンキー家の男子は、知恵と力と勇気、そして優しさと侠気(おとこぎ)が絶対要素だった。
だから、ドメンヌの領民に慕われているのだ。
ギンの体が、道路際の民家の壁まで吹っ飛んだ。
「ギンさん!!」
「カポ(キャプテン)!!」
「今だ走れ!!」
ルフィが叫んだ瞬間。
耳を劈く爆発音だった。
瞬間、サンジはナミを庇い、ウソップとチョッパーは互いにしがみついて身を伏せた。
ゾロは、ルフィを抱えて地面に伏せた。
ロロノアのソルジャー達からも悲鳴があがった。
数人が倒れて気を失っている。
直撃を食らったものが、血を流して呻いていた。
「なんだ!?」
怒号が響く。
そして、2度目の爆発音。
起き上がったギンが叫ぶ。
「……なんてものを持ち出しやがった!!?」
思わず、サンジはギンに
「なんだ、ありゃあ!?」
「……小型のロケットランチャーでさ!どいつが撃ちやがった!?」
さらに
「うわああああああああああああ!!撃ってきたァァ!!」
ウソップとチョッパーが悲鳴を上げた。
別働隊が、彼らに向って発砲して来たのだ。
「……っ!!」
「逃げろ!!」
「12号線へ!!」
走りだすゾロ達に向って、雨の様に銃弾が降り注ぐ。
「きゃあああっ!!」
「ナミ!!」
ルフィがナミを抱え上げ、しっかりと抱きしめて走りだす。
「サンジさん!!」
ギンの声が、悲鳴のようだった。
「ここここ!これってどーゆーこった!!?」
ウソップが泣きそうな声で叫んだ。
と
「遅いよ!お前ェらァ!!」
カミカゼタクシー参上。
「オバハ―――――――ン!!(喜)」
「んががががが!!面白ェことにらってるねェ!!乗んなァ!!」
「乗るったって…。」
サンジが一瞬躊躇った。
ごく普通のキャブ。
こちらは6人。
「気合と根性ォォ!!」
ルフィが、全員を車の中につき飛ばす。
「ああああああああ!!」
「どこ触ってんのよ!!ウソップ!!」
「不可抗力だ―――――っ!!」
「つ、潰れる…っ!」
「で?どこまで行くンらぃ?」
自分も、でっぷりしたほっぺを、ウソップの鼻に突かれた状態で、カミカゼオバハンは尋ねた。
ルフィが、さかさまになった状態で
「コルシカ島!!」
「行けるか!アホ!!」
ゾロがツッコム。
「とにかく!身を隠せる場所!!」
サンジが叫んだ。
「りょ〜〜〜〜〜かい!!しっかり捕まってなァ!!」
「頼むぞ、オバハン!!」
「シラウオのようなココロさんと呼びなァ!!」
「シラウオってどこが―――――っっ!!」
タクシーは追っ手を振り切ると、やがて郊外への道を法定速度で走り始める。
というか、定員オーバーなのでスピードが上がらない。
気合でヴェローナの街を抜けてきた。
「ガルダ湖あたりへ行きゃ、ヒュッテもバンガローもあるからねェ。
観光客も多いから、紛れ込んでそのまま観光道路抜けりゃ、スイスまですぐさァ。」
「ありがとな、ココロのばーさん。」
ぎゅうぎゅう詰めの車内。
助手席に、ルフィとチョッパーが座り、後部シートにゾロとサンジとナミとウソップ。
ウソップはゾロの膝の上。ナミはゾロとサンジの間に挟まっている。
(このポジションになるまでの紆余曲折は長くなるので割愛)
「……しかし、なんだってんらい?アンタ達は。」
ココロの問いに、全員黙りこむ。
「……アンタ達2人。」
「………!!」
「………。」
ココロはハンドルを握り、真っ直ぐ前を見たまま
「…ドン・ゾロシアとドン・サンジーノの子らね。」
「………。」
「………。」
「…有名なんだな…。」
ウソップのつぶやきに
「そら、そーらよォ。ヴェローナの街の“顔”らったんだからねェ。」
「………。」
「………。」
緑のタクシーは、オリーブの森の間を抜けていく。
「……アタシはね…ユダヤ系の移民れねェ……。大戦中は…収容所にいたんらよォ。
戦後、食うに食えなくて、いっそ死んじまおうかと思った時…ドン・ミホークに助けられた……。」
「………!!」
サンジの目が、驚きに丸くなる。
「いやぁ、ドン・ミホークらけじゃないねェ…当時の片方のボス、ドン・ゼフーノも。
戦争で食えなくなった移民やら、行き場のない軍人やら、身寄りのない子供たちを…それぞれが助けてくれたんら……。」
ミホーク
それがゾロの祖父。
「2人が死んら時は泣いたねェ…。」
「………。」
「…ヴェローナ中が泣いたんら…。」
「………。」
「…互いの組織に暗殺されたって聞いたけろ…アタシは信じられなかったねェ…。」
「…なんで…?」
サンジが尋ねた。
「…対抗勢力ら。敵対はしてたけろ、憎しみ合いはしてなかった。2つの勢力があって、この街は成り立ってたからね。
その事を、誰らってよぉ〜く知ってたさ。しかも、抗争の理由がなかった。
相手を殺す理由なんか、どっこにも無かった筈らんらよ。」
「………。」
「………。」
「…ゼフーノとミホークの相次いだ死は…偶然ら…。
偶然でなけりゃ…まったく別のヤツらがやったんら。アタシは、今でもそう思ってるよォ。」
しばらく、沈黙が続いた。
が、ココロは愉快そうに
「んがががが!長生きはするもんら!」
「………。」
「…どんな事情が知らないが…がんばんなァ!」
「明るく〆た所で、こんな話で悪いんだけどよ。」
ウソップが言った。
目が、サンジを見ている。
「なんだ?」
「……あいつら、何でサンジもお構い無しに撃ってきたんだ?」
チョッパーが、ルフィの肩越しに後ろを見て
「あ。おれもそう思った!」
そして
「狙われるなら、ゾロとお前らだけだろ?」
「ちょっと待てェ!なんだ!?その『お前ら』って、ひとくくりはァ!?」
ウソップ。
「だって、サンジを連れてこうって考えてるんだから、ゾロシアにとっては全員敵じゃないか。」
「でも、あのギンってヤツ、ロケット弾打ち込まれた時は、どこのバカだって叫んでたじゃねェか。」
ルフィが言った。
するとナミが
「……ねェ、こうは考えられない?死んだと思っていたゾロが、生きてヴェローナに戻ったのよ。
正真正銘ゾロシアの実の息子が。根っからのロロノアファミリーにとっては、
次のボスにサンジくんがなるより、ゾロがなった方がいいってのが心情じゃない?」
「そうかなァ〜〜〜。」
「…それに、サンジくんがボスになって、もし、旧バラティエの人間の方を重く用い始めたりしたら
…ロロノア派は面白くないわね。」
「それで、ボスの命令無視して動くのか?」
「幹部や顧問がわんさかいるんでしょ?その内一人が裏切るってことくらい、あるんじゃない?」
「…否定は…できないけどね…。」
サンジが言った。
「だからってよ!昨日までの若頭、そんな理由で、今日は簡単に殺すってなるのか!?」
ウソップが叫ぶ。
「知らないわよ!ヤクザの理屈なんか!!」
「ごめんね…ヤクザで…。」
「ああああ!ごめん!そんなつもりじゃないのよ!!」
「とにかく!!襲ってくるならぶっ飛ばすだけだ!!」
ガルダ湖。
イタリア最大の湖が見えてきた。
「うわぁ!綺麗!!」
ナミが歓声を挙げた。
ご他聞にもれず、ここも観光地だ。
中世のヴェローナの貴族、スカラ家の城塞がある。
エメラルドグリーンの湖面が、今は夕焼けに映えて美しい。
湖面につき出た半島の先端が観光拠点の街で、ローマ時代の遺跡や温泉(テルメ)もある。
「ステキ〜〜〜〜vvv」
「新婚旅行においでェ、案内するよォ!」
「うん!そーする!」
「んじゃ、来年の夏辺り!!」
どさくさに紛れて言うルフィに、ナミの鉄拳が炸裂した。
少し通りから外れた湖畔で、6人は車を降りた。
「ありがとう!ココロさん!!」
「この御礼はいつか必ず!!」
「期待しないれ、待ってるよォォォ!んがががががが!!」
カミカゼタクシーは、ヴェローナの街へ戻っていった。
彼らが降り立ったのは、ガルダ湖の観光拠点、シルミオーネの街からわずかに西。
「……ウソップ、つかぬ事を聞くけど……そのリュックの中に……お金……入ってる?」
にっこり笑って言うナミに、ウソップもにっこり笑って
「持ってる訳がないじゃな〜〜〜〜〜〜い?」
「あはははは!そぉ〜よねぇ〜〜〜、あの状況だったもんねェ〜〜〜〜。」
「……腹減ったな……おれ……。」
ルフィががっくりとうな垂れる。
「…今夜は野宿かな…。」
サンジがつぶやく。
「どのみち、ホテルに泊まれるとは思ってねェよ。」
と、ゾロ。
ナミが、ちらとゾロとサンジを見て
「……野宿でも、今夜はここで休みましょう。無理はさせられないわ。」
「そーだ!お前ら、ちょっと傷見せろ!!」
チョッパー。
サンジがたじろぐ
「こ、ここで?」
「そっちの物陰ならいいだろ!」
「ぎゃああああああああああっ!!」
草むらに引っ張りこまれた。
文章だけ見てるとなんかヒワイ。
がさっと、チョッパーが草むらから顔を出し、言う。
「……バンガロー1個借りて、フツーにメシ食うぐらいの金ならあるぞ。」
「ホントか!?」
ルフィの顔が、100ワットの明るさになる。
「あとできっちり返してもらうからな!!1万ユーロも!!」
「やったー!メシが食える――!!」
サンジの悲鳴がまた響いた。
青筋と、申し訳なさと、そして恐怖に、ゾロは顔をしかめた。
あいつ、ドクターくれは以上の、おっかねェ医者になるかも知れねェ…。
(2009/5/22)
NEXT
BEFORE
Bello Rosso TOP
NOVELS-TOP
TOP